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天元突破グレンラガン 10話『アニキっていったい誰ですか?』

今回も安定してよいデキ。
『グレンラガン』の雰囲気作りが、繊細に注意を払われていることが、安定の核にあるように思う。

今回の10話でいうなら、シモンにアニキのことを語らせるシーンを、あえて晴れた日中の甲板を背景にして進めたあたりは、本当に素晴らしい。
そうすることによって、観客の中にカミナのイメージを想起させることができるからだ。
それによって、喪失の衝撃にただ混迷していた9話に比べて、10話では落ち着いてもなおしみてくる悲しみを拾うことができている。
本当にこの追いかけかたは丁寧だ。カミナはスタッフにも愛されていたキャラクタなのだなと思えて、観客的にも胸にくるものがある。

カミナは、荒野が似合う風のような男として描かれていた。
シモンはどうも、暗い穴の中から、それをぶち破り外へと突破する男として対比されているようだ。
つまり、「シモンにとって本当にだいじな戦いは”暗闇の中”で行われる」というイメージになっている。そして、暗い天井をぶち破って、広い世界、明るい世界を目の前にひらくことが、物語が彼に期待している勝利であるように見えるのだ。

今回、動かないラガンを蹴っていた、あのカット以外に主役メカであるラガンとシモンのカットはひとつもない。よくよく考えてみると、これはとてもセンスのある選択だ。
たぶん、10話をふつうの感覚でエピソード配置すると、「カミナのイメージ」「8話までの物語のイメージ」だった晴れた荒野と対比するために、シモンを暗い場所で悩ませていたんだろうなと思う。ラガンを動かそうとして失敗するシーンだって、この話の流れなら、本来は話の前半でほうりこんでおくほうが、むしろ定石なのだ。
それが、今回の10話では、徹底して「カミナの思い出話」を日の当たるところでする展開を続け、シモンを暗闇に置かなかった
シモンが暗闇にいたのはわずかに2カット。

  1. いちはやくニアの危機に気づき、ラガンに乗り込もうとして失敗したカット。(その後、シモンは生身で彼女を救いに”暗闇から明るい場所へ”飛び出している)
  2. 10話ラスト、それでもアニキのことを暗い部屋で引きずり続けるシモンと、彼自身の勇気を”明るい場所”でほめるニアを描いたカット。(現在物語中でシモンが抱えている問題と、それがニアにからんで解消されることを暗示するカット)

どちらも、10話でもっとも重要なキーになるシーンである。

昨日、『リリカルなのはStrikers 10話』の感想エントリでも書いたが、物語が情報にかけるアプローチには、”足し算的な性質”を持つものと”引き算的な性質”を持つものがある。
引き算してシーンのキメ止まりをあげるということは、つまり「シーンを整理する」ということでもある。
『グレンラガン』は、この”整理”において、よくできたものの多い今期アニメの中でも、頭ひとつ抜けている。

ただ、またイヤなこと言うなあという感じではあるが、気になるところもある。
アイキャッチやらいろんなところに”ニア色”を出している演出と、バランスを失いかけていたことだ。
カミナを引きずりすぎず、「物語は新しい局面に入っているよ」と指示するためなのだろう。
けれど、これをやるなら、物語本編では、ニアと対置されるヒロインであるヨーコにもっと印象を集める必要があったと思う。実際、見せ場はあったのだけれど、ライフルでニアを援護するときに「ヨーコらしい、彼女にしか言えない一言」がなにかあると、よりよかった。
ニアは、現在物語として破格の立ち位置をもらっている、性格的にもある意味無敵キャラだ。だから、ヨーコは相当がんばらないと、物語上の居場所がどんどん削られて”旧ヒロイン”になっていってしまうのだ。
このあたりはストレートに、「セリフの力が、ニア中心の演出に負けた」状態だと思う。

ともあれ、ヨーコに大事なところで大きなセリフがなかったことすら「シモンに物語の焦点と印象をあわせるため」という理由はあるわけで、やはりレベルの高い仕事だ。
本当に、ガイナックスも、これだけのクオリティを維持する能力があるなら、もっとガンガン仕事してくれるとファン的にはうれしいのにと、これはすなおに思う。

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