魔法少女リリカルなのはStrikerS 12話 『ナンバーズ』
12話は、11話のもっさり感は何だったんだという『なのは』らしい盛り上がり。
特に、物語上オーバーパワーな機動六課に対して、中将という拘束要素がようやく出てきてくれたことが、物語を緊迫させてくれた。中将の懸念の理由も、現状、筋が通っていてよい感じ。
物語を約50%消化して出てくるのは、いくらなんでも遅すぎると思うのですが。
13話も、予告編をみる限りでは、これまでかくしてきたルーテシアまわりの話をあかす、重要な話になるようだ。
ここまで見てきて思うのだけれど、『Strikers』は、26話をおおきくAパート/Bパート的にわけて、物語を作る前半と急転させる後半にきれいに整理している様子だ。
実際、これは『ミッドポイント』というシナリオ上よく使われる概念をきれいに踏んでいるわけで、物語構造上理にかなっている。
ミッドポイントについては、親切に解説してくれているサイトがウェブ上に見あたらなかったので、すこし専門用語を使っている説明をお借りします。(でも、簡潔によくまとまっています:原文には文字修飾なし。一部記述をカット。すみません)
第2幕でもっとも重要なのは、P60前後の「ミッドポイント」である。60ページ目という位置は、P31~90にかけて書かれる第2幕の中心であると同時に、全120ページのシナリオの中央部分でもある。ここに、ストーリー全体の流れを大きく変える重要な事件を配置する。
「ミッドポイント」の前後にあたるP45とP75付近には、「ピンチⅠ」と「ピンチⅡ」と呼ばれるエピソードを盛り込んでいく。
ピンチはストーリーを本来の流れから脱線させないために有効だ。ピンチⅠはミッドポイントを活かすための伏線である。ピンチⅡにはミッドポイントのエピソードと直接関連して、それを補い、掘り下げるような挿話を書くとよい。
引用元--やさしい文章講座-文章の書き方・小説の書き方教えます!
用語がならんでいるけれど、つまり『第2幕』というのは、物語全体を大きく3分割したうちのふたつ目。第2幕の前にはもちろん第1幕が置かれているわけで、この1幕と2幕の間の切れ目を作るのが、後述されている『ピンチⅠ』になる。
『ミッドポイント』は、アニメでいうと、アイキャッチ(CM前後)の前に派手な展開があるようなヤツ、基本的にはあれのことだと思っていい。
『なのは』のシナリオはこういうところに本当にセンスが良くて、『ピンチⅠ』にあたる8~9話(つまり魔王なのはさん降臨、新人シメられる)で成長させたティアナに、12話で幻術を使って活躍させている。
これは、ピンチⅠ~ミッドポイントへと流れるセオリーに、忠実にそっている。これだけキャラクタがたくさん動き回っている12話で、物語が最低限度のまとまりを持っているのは、この流れのおかげだ。
これは、たとえばもエリオやキャロがこのはかりごとをしていたらと考えてみるといいと思う。
変化はまちがいようのないものになると思う。”ティアナ以外のキャラクタはまだ物語にドラマらしいドラマを積めていない”から、よくやったとかがんばったと観客の心が動きづらい。
12話の全体印象として、なのはたちばかり目立って、新人がいらない子に見えてしまったはずだ。
だから、12話でナンバーズに一矢むくいる新人側の見せ場はティアナがベストだったし、先輩の貫禄を見せる(砲撃のピンチから仲間を救う)のはなのはがベストだった。先輩キャラクタの象徴はやっぱりなのはなので、なのはが活躍してくれないと観客的にさびしいのだから。
12話の物語は、この2つ(なのはの砲撃阻止・ティアナのはかりごと)の展開が中心になって、複雑な話に一本の強い流れをつくっている。
目立たないところの基本が、物語が転倒しないように支えているのだ。『なのは』スタッフの、この要所を外さないセンスは、本当に素晴らしい。
逆に、これだけセンスがある作り手の物語が、なぜここまでの前半もっさりして見えているのか、ずっと気になってしかたがない。
13(or12)話構成のアニメが市場に多く、13話構成のテンポで進む物語を見慣れた身としてはのんびりして感じるせいもあると思う。
最近は、26話の全構成から、各話へのエピソード配置を計画的にしすぎたということなのかと思うようになってきた。
11話と12話を見比べて感じるのだけれど、『Strikers』は、構成上で盛りあげがちいさくなる話を、はっきり切り捨てすぎだと思う。捨てるところを捨てるのはメリハリだ。けれどある程度、一話あたりの見どころと交換だと、わりきるものなのではないだろうか?
(最近だと、今週のグレンラガン12話も、物語の流れから切り離された、明確な捨て回だった。それでも、四天王アディーネとニアの髪のおかげで、そう見えなくなっているわけで。)
本当に『なのはStrikers』は、おもしろいけれどつくりが手慣れていないというか、変なところで書きたい衝動を刺激する。
たぶん、個人的には好きだということなのだと思う。
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