魔法少女リリカルなのはStrikerS 第16話 「その日、機動六課(前編)」
実は、16話は、状況の全体構図としては、7話『ホテル・アグスタ』に酷似している。
- 機動六課による護衛任務だが、護衛対象と六課に協力関係がない
- 強力無比な隊長陣は建物内部にいて、初期段階では動けない。
- 敵の正体と目的が不明。
- 第一撃が、完全な奇襲である。
- 物語としても、新キャラの登場話にあたり、いい見せ場をあげる意味でも初撃がやられ放題である。
7話に似ているだけに、新人4人の成長がよく見える第16話になっていた。
普通に物語構成を考えると、ナンバーズの登場話数を散らすのだろうだけれど、それでもあえて16~17話の展開に12人全員ぶちこむ様子なのが『なのは』らしい。
男らしすぎる構成である。
こんなにせっぱ詰まった状況でも、純粋な前置きにAパートを使うところが『リリカルなのは』らしい。
ナンバースの武器はそれぞれ相当多彩な模様。せっぱ詰まった話数で突然大量に出すだけに、武器シルエットをかぶらせないようにしているようだ。
そしておそろしいことに、現状出てきた感じを見ると、突然に大量出現したナンバーズはどうも全員女の子っぽい。なぜ? 男の戦闘機人を入れちゃいけない理由が明確になっていないのに。
構成やキャラ配置が、いろいろ男らしすぎます。
『なのは』の物語を作っている思想は、相当に男らしい。けれど、たぶん『なのは』の物語を考えるとき、この設計思想の男らしさが引っかかってくる部分もある。
実は、なのはのような男性客向きだけれど女性キャラだけで成り立つ物語では、男性キャラの置き場がシビアに問われる。
お客さんが男性なので、男性の目はどこかにはかならずあるからである。主要キャラクタが女性ばかりであるからといって、観客が自分の目を女性視点に切り替えることなどできない。基本的には、感情移入や理解ができるキャラクタがひとりもいなくても、観客は男性視点を引きずるのである。そして、娯楽作品における”物語”とはお客さんのものである以上、これを無視することはできない。
『Strikers』では男性がまったくいない家族をつくった。ここには、男性が男性らしさを発揮できる居場所はない。
だから、『Strikers』から『なのは』に入ったお客さんが乗りにくいというのは、理屈的には正しい。
なのはスタッフが、一作目の『なのは』を女性ばかりの世界にしたのは、たぶん『リリカルなのは』シリーズが元々、第二次性徴前の小学生を主役に動いていたからだ。
3作目までくると、なのはが十九歳になった。前2作なしで『リリカルなのはStrikers』が単発の物語としてはじまっていたなら、きっとキャラクタ配置は、こんな女性だらけにはならなかった。男性観客が視点を置くための男性キャラクタを、どこかには配置したはずだ。
もしくは、女性だらけの配置にするなら、もっと「女の子」を前面に打ち出した物語作りをしたはずだ。
そのあたりのひずみがどこに出ているかというと、まさに”ナンバーズ”の皆さんだ。
つまるところ、ナンバーズの個々のキャラクタに対して、まったく感情移入も応援も「こいつだけでも助かってほしいなあ」という感情もわかないのである。
女性キャラクタが多すぎて、かつ男性のお客さんにとっての目の置き所がないから、「特定キャラクタをひいきにする」こともむずかしい。だから、女性キャラ自体の価値がいつのまにか暴落しているのだ。
主役の年齢を動かすことは、物語のテーマとのかねあいを考えると、予期しない問題を抱えこむ危険をのむということだ。
たぶん、19歳なのはではなく、9歳なのはのままなら、物語はもっとやさしく進んだと思う。その中で、ナンバースにも、全員助かるのはやりすぎにしろ何人かとは話ができて、何人かは新しい道をさぐれたはずだ。
なのはさんが、8話以降ネタキャラ気味ではあるので、どこかしかに男性客がとっつける場所をつくってくれると、個人的にはうれしい。
あと、16話のひそかなチェックポイントは、今回ギンガが出てこなかったことだと思う。
26話全体のラインを妥当に考えたとき、”家族”というメインテーマを引っ張るべきキャラクタは、ヴィヴィオではない。なのはであり、そしてスバルだ。
スバルは、1話から出て、なのはを追いかけて成長してきたキャラクターだ。だから、流れ的に言うと、スバルが「”家族”がからんだ試練」に出会わないと物語のまとまりが悪くなるのだ。
16~17話を逃すと、スバルがらみの設定とドラマが、『Strikers』の主線である”家族”につながる機会を失する気がする。
だからこそ、ギンガが今回の16話に出てこないのが、ちょっと引っかかる感じではあります。もっとも、ナンバースの中に、すでにギンガがまぎれこんでるかもしれないわけではありますが。
このあたりどうなっているかは、17話を見てみないとわからないのですが、最後の「タイプゼロ」の設定に触れたのが目くらましで、スバルで17話の設定開示ではなく”ドラマ”を動かすのなら、うまい隠しかただなとは思います。
なぜこんなふうに細かいところをほじるような書きかたをしているかというと、どうも『Strikers』は、大きい流れを大切にして細部はすっ飛ばす構えに出てきたように見えたため。
別に触れなくてもいいかとも思ったのだけれど、8話あたりの感想や考察で触れたので、大きな話が動き出す前にエントリに書いておくことにしました。
1話ずつ見て1話ずつ感想を書いてゆくのは、昔の予想や考えたことが、実際の話数でどう当たったり外れたりしているかが見えてとても楽しいですね。
こうやって入り込んで作品を見れることは、感想blogを書いている役得だと思います。
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