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魔法少女リリカルなのはStrikers 18話 「翼、再び」

今回の18話は、たぶん二種類のすすめかたが可能だった話だったと思う。
つまり、17話の実質主役だったスバルを中心に物語の軸を前向きにとるか、ヴィヴィオがらみの人間関係を中心に物語の底流の悲惨さをクローズアップするかである。

『リリカルなのはStrikers』をこれまで見ていて思うのだけれど、「熱血魔法少女バトルもの」といった看板とは裏腹に、物語は熱血になる流れを選んでいない。
今回の18話なら、情報を散らさずにスバルの再起を中心に物語を構成すれば、たぶん前向きに終わっていた。
スバルの体の事情だって、母親の死体、墓にすがりつく姉妹(しかも幼い)、みたいな悲惨な明かしかたをする必要は本来ない。たとえばスバルのいる病室のシーンで、”現在のスバルはこんな強い子になりました”という明るい表情を含めて出ているだけでも、こんなネガティブな印象で終わらなかった。
ネガティブな印象がでる真相のあかしかたを、制作者がわざわざ選んだのだ。
それは、物語自体が、観客がカタルシスを得られる展開のつくりを選んでいないということでもある。

そうでなければ、いくらなんでも、キャラクタの再起を描くはずの18話を、年端もいかない少女(ヴィヴィオ)の悲鳴で引くのはあんまりだ。
その前のシーンもそうだ。
主人公なのはを泣かせたのも、今回の18話が、シリーズ中たぶんはじめてだった。実際、1話から”エース・オブ・エース”と持ち上げられ、8話では部下をボコり、「無敵、高町なのは」という押し方になっていた『Strikers』のなのはが、涙を見せたのだ。
実際、18話は、様々な情報が錯綜したが、物語のトーンがネガティブであるという一点でよくまとまって見える。情報がつくるかたちは複雑だが、物語の雰囲気がつくる色あいはほぼ同じ系統の色でまとまっているのである。

18話の中心軸は、
「ヴィヴィオたち子どもの悲鳴」つまり全員が年端もいかない少女である①母を失った幼少期のスバルとギンガ、②あきらかにだまされているルーテシア、③悲惨としか言いようのないヴィヴィオの悲鳴と、
「もう一度飛び立つおとなたち」つまり、奪われたものを取り返そうとする①現在のスバル②はやてと機動六課、そしてアースラ③母親であるなのはとフェイト
との対比である。

つまり、冒頭の”2つの物語づくりのパターンがあった”というのは、ポジティブな印象で終わる(上記の「おとな」側)か、ネガティブな印象で終わる(上記の「こども」側)か、選択肢があったということだ。
そして18話が、物語を締める(まとめる)流れとして選択したのは「ヴィヴィオの悲鳴」のほうだった。
「子どもの悲鳴がないと締まらない流れを選択するのって、熱血魔法少女アニメなのか?」と考えると、相当に首をかしげるところがある。
ここにきて、やはり盛り上がりの薄かった1~7話あたりを考えてしまうのだけれど、『Strikers』は、バトルものに一般的な”勝負”や”勝利”のカタルシスをそもそも意図していないように見える。
そして思い返してみると、これまでのシリーズでも、男の子向けバトルもの的な”どう勝つか”は、『なのは』シリーズでは中心ではなかった。

『熱血』云々とアップテンポな物語であるように看板を出してはいるが、使っているエピソードはおおむね暗いのである。
実際、これまでのシリーズで描かれてきたフェイトやはやての話も、相当にひどい話だった。悪役の中に、子どもを犠牲に絶対できない人はいなかった。
ものすごく悪い言い方になってしまうが、これまでだってなのはシリーズは「ひどい目にあう年端もいかない少女」がまずいて、それが友だちや疑似家族に救われる話だったのだ

「前向きに終わらない」ところが『リリカルなのは』らしいという、特徴ある再起エピソードだったと思う。
あと、『リリカルなのはStrikers』のDVDは3話構成で、順当にいけば18話は16話、17話とセット(DVD6巻)になる。だから、DVDのまとまりとしては、燃える17話の次に、30分まるごとかけてネガティブなトーンで話をおわってもよいのかもしれない。

レジアス中将の小物化など、広げた風呂敷をちいさくして破綻なくまとめようとしている感じもあって多少引っかかる。
けれど、『Strikers』は、ものを作っているスタッフの選択や決断が見えやすいつくりをしているように見える。だから、やはり毎回考えさせられるのだ。

今回、about meのアンケートを連動してみることにしました。よろしければ。たぶん、[Q]の隣のリンクから、選択肢が見えて投票できるようになるんじゃないかと。
(自分で一度答えてみたら選択肢が表示されなくなりました。なにぶんはじめてなもので、about meのシステム自体まだよく理解できていなかったりも。作動変なようでしたらコメント欄に書いてやってください。)

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コメント

7月末のココログフリーのメンテナンスで、about me連動しやすくなったという通知がniftyから来たのでやってみたのですが、どんな感じでしょう。about me。
java script自体を切っている訪問者さんもいるようなので、考えものではあります。
というか、ずいぶん前にabout meアカウントを作って放置していたものの再利用なので、ひょっとして基本的なルールを理解していないのかもしれず。
about meに登録していないとアンケートに答えられないとかだったらすみません。(……でも、まさか、スクリプト貼り付けでこんな簡単に置けるようになってるのに、そんな閉鎖的な設定なはずが……。いやまさか……)

投稿: ニート風味 | 2007/08/03 14:03

再び、HINAKAです。

ニート風味様

何度もコメントトラック・バックをお許し下さい。
今回の18話に関して、相変わらず視点が全く異なりますが、というか自分がおかしいのですが……。
「翼、再び」のタイトル通り、ここから逆転だ!という認識では、一致していると思います。もっともそれ以外に理由のある内容だとすると、その方が問題の気もしますが。
自分は飽くまで、スバル姉妹の父親の言動から、ハヤテひいては6課そのものの今後の姿勢を示した回と、認識し、その辺の説明と今回のストライカーズに、決定的に欠けていた「笑い」の要素から、検証してみました。

仰るとおり、「ナノハは、勝利によるカタルシスは求めていない」シリーズだと思います。ただしこれまでの2つのシリーズは「結果としての、力によるカタルシスは、充分に与えていた」と思います。これまでのシリーズでナノハが泣いていないかどうかは、分かりません。
ですが沈んで行く敵を、救おうとする物語というのは、大いに頷けます。

問題は、今回のシリーズに存在しない、敵に対する優しさです。
前2シリーズは、なぜかナノハは、あるいはナノハ側は敵を全面的に憎めませんし、憎めないように作っています。色々な見方があるでしょうが、そこがナノハ個人と物語全体の「優しさ」だと感じますし、それがこのシリーズの良さだとも思います。

ところが今回の敵は、「憎べき悪魔の様な敵」として描かれ、弁解の余地はありません。
12シスターズが、どんな人間らしく振る舞おうとも、命を奪うという一線だけは守り通した、A’sの時のボルゲンリッターとは、比べようもありません。

その結果、この物語には余裕が無くなり、余裕キャラがいなくなったのだと、感じます。
それが形になって現れたのが、「笑い」の欠如です。逆説的ですが、敵を敵と認識し、目的を具体的(仲間の奪還)に与えられた今になって、ようやく彼らに余裕が生まれた気がします。
だからこそ、ナノハも泣ける暇があったと、感じるのです。

さァ、ここからが正念場です。
前2シリーズとは、違った意味でも良いから、是非ナノハ達の活躍を、楽しみにしたいものです。

長々と、失礼致しました。

投稿: HINAKA | 2007/08/04 22:18

>HINAKAさん
今回の『Strikers』は、たしかに敵に感情移入しがたいですね。
個人的には、ナンバーズが感情移入しがたく描かれているのは、スバルを戦闘機人にしたせいだと思います。
つまり、ナンバーズをあまり愛すべき人物にしすぎると、似た境遇のスバルとの”差”の部分が目立ってしまう(スバルとギンガにはゲンヤやクイントがいたのに、ナンバーズにはスカリエッティであるという”差”)。
そうなると、「似た境遇なのにスバルは恵まれているのではないか」と、(判官びいき的な)観客心理として、逆にスバルの悪いところを探し始めてしまうおそれがあるからなのではないかなと思います。

けれど、今回の『Strikers』の主人公は、あくまでもなのはのようです。
となると、残り話数の中で、スバルとナンバーズについて語れる情報量は限られてきます。
それでも”疑似家族”を中心にする物語の流れなので、お客さんには100%スバルを応援してほしい。でないと、なのは・フェイトとヴィヴィオという、物語の中心らしい”疑似家族”関係の説得力まで揺れはじめてしまう。
なら、はじめから一定以上は感情移入しにくいようにナンバーズを配置しておこう。ということなのではないかと思います。個人的には、理にかなった選択なのではないかと。

18話段階で、物語がすでに駆け足になりつつありますが、いいラストを迎えてくれるとよいですね。

投稿: ニート風味 | 2007/08/05 00:36

HINAKAです。

ニート風味様

続けての、コメントお許し下さい。
なお、長々とした駄文への、丁寧な御返答ありがとうございました。

多分根本的な差違は「この『ストライカーズ』という作品の主人公が、〈高町なのは、であるか否か!?〉ということだと思います」。
自分は否定派で(考えを派閥に分けるのは、余り良い趣味ではないと思いますが……)、ニート風味様は、肯定派と言うことではないでしょうか?
これだと、お互いの考えが比較的、スッキリすると思います。
簡単に言えば、スバルの扱いなどをどう見るか?という点です。

ちなみに自分の場合、最悪この物語に事実上の主人公がいないことが、最大の問題だ!
とも、思っております。

では、何度も書き込み、お邪魔いたしました。

投稿: HINAKA | 2007/08/05 14:10

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